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体調不良は生命の進化のせいかもしれない。

誰にでも訪れる「体調不良」

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体調が悪い時、色々な要因がありますよね。

 

自己責任的に言えば不摂生、飲み過ぎ、食べ過ぎ、食べなさすぎ。

それに運動不足や睡眠不足などといったことがよく挙げられます。

環境的なものとしては、気圧だったり、季節の移り変わりが代表的なものでしょう。

特に気圧はよく槍玉に挙げられ、何かと気圧のせいにすることは日常で多いように思われます。

ついつい自分の生活習慣のせいで体調不良になったと自分を責めてしまいがちになりますが、環境の影響もまた、とても大きなものだと思います。

 

『生命とリズム』という本を読んだのですが、体調不良の原因はこういった自分の生活習慣や環境だけが原因ではないのではないか、と考えさせられました。

 

自分でも、環境でもない原因とは何か。

 

それは「生命の進化」です。

 

25時間周期で生きている人間。

この本で紹介されている、ある実験があります。

それは昼も夜もわからない状態で被験者に過ごしてもらうというものです。

 

こうした昼夜が不明な状況に置かれると、人間は約25時間周期での生活スタイルになるようなのです。

地球の自転周期、つまり地球から見る太陽の周期とも約1時間ズレていくことになりますね。

これは月の公転周期(?)に当たるのですが、もちろん地球の生命が月由来というわけではありません。

  

(ちなみに月人類起源説が好きな方は、J.P.ホーガンの『星を継ぐもの』がオススメです)

25時間というのは月の公転周期であることは間違いないのですが、これは地球の潮の満ち引きの周期とも関連している数字になっているようです。

 

生命の誕生と進化〜海から陸へ〜

地球は約46億年の歴史を持っていますが、生命が誕生したのは38億年前、そして陸上に動物が暮らし始めたのは約5億年ほど前だと言われています。

つまり、33億年ほどは海で生活をしており、それに比べると現在陸上で生活している生物も、陸上での歴史は5億年で、海での生活よりよりもはるかに短いことになるんですね。

 

5億年もあれば十分に陸上だけの生物になるのかと思うのですが、生命に刻まれたDNAを打ち消すには足りていないようです。

 

人間の赤ちゃんの最初は魚?

著者である三木さんは、人間の生命が海での記憶を残していることの根拠として、胎児の成長段階に注目しています。

三木成夫『生命とリズム』p49胎児の図

(出典: 三木茂夫『生命とリズム』p49)

これは27日目の胎児の様子なのですが、どことなく稚魚のような感じもします。

本文中では「エラがまるで魚のようにはっきり見えています」(p48)と語られているのですが、頭側にあるヒダのようなものがエラなのでしょうか・・・?

 

 

何にせよ、私たちは海での生活の記憶を、DNAレベルで持っているということなのでしょう。

潮の満ち引きに合わせた生活をしていたのが、陸上で太陽に合わせた生活様式に変わった。

それから何億年も経っていても、遺伝子にはまだ海の記憶が残っているようです。

 

胎児の姿は次々と形を変え、爬虫類的な相貌だったり、哺乳類の姿、そして人型へと、一つの個体の中で進化の軌跡を描いていきます。

 

こうした胎児の語りかけからもうかがわれるように、私たちのからだは、常に過去を引きずって今日に至っている。言いかえれば、からだの中には顔のおもかげが、一種の年輪構造として深く刻み込まれているのである(p188)

 

では、普通の生物はどうやってこの帳尻を合わせているのでしょうか。

 

三木さんはこの問題について、夜型人間についてしか語っていません。

 

夜型人間のすべきことは〜(中略)〜体内で働き続ける“遅れがち”の時計の針を、朝夕きちんと合わせることによって、虚弱な「昼夜リズム」を常に鍛え上げることでは無いかと思う(p189)

 

要するに、太陽の動きに従って生きられるように、頑張れ。ということになりそうです。

実際、それができれば苦労はしないですよね。

 

体調不良は必ずしも「自分」のせいじゃない

どこかで人間は25時間周期の要素を持っていて、でも実際に太陽の下で生きていくと、その周期が24時間だったら、どこかで体に不調が起きても仕方のないことだと思います。

健康な生活を送っている人でも、1年の内に体調が悪いと感じる日は1日や2日では済まないはずです。

太陽の下で暮らすということそのものが、生命として少しムリをしている状態なのではないでしょうか。

 

現代では自己管理がもてはやされ、栄養ドリンクで辛い日も乗り切るという考えが 蔓延していますが、もっと広い目で体調不良を見ても良いと思います。

もちろん、女性であれば生理に伴う不調がありますし、最近では気圧に伴う不調も多少は認められることもあるようです。

ただ、それ以外にも生きている上で自然発生的に起こる体調不良というものもあるはずです。

それは自分の体調管理だけで済む問題ではありません

 

責任感の強い人であれば、健康の問題を自分の行動を責めてしまうこともあるかもしれませんが、きっと私たちの体は、コントロールしきれない部分というのが少なくないのです。

無力な感じになってしまうかもしれませんが、これはある意味では救いになります。

体調不良になるのは自分のせいだけではないのですから。

 

 

地球と月との関係に従って生きてきた海の生命体としての時間と、地球と太陽との関係に育まれてた陸の生物としての時間、そこに横たわる、連綿として続いてきた生命の歴史の中に私たち人間というのは存在しています。

 

「長い目」で自分を観てみる 

ちょっとした体調不良は、仕方がありません。

「今はちょっと海のリズムと陸のリズムが不調になっているのかな」

そう思うだけでちょっと気が楽になる気がしませんか?

 

 

単に親から生まれて自我意識を持ってからが「私」ではなく、長い長い生命の歴史と「今」の結節点にある、そんな長い目で(ちょっと意味はちがうけど)自分を見ることができたら、人生そのものの見え方も変わってくる気がします。

 

・・・なんだかちょっとスピリチュアルな内容になってしまったかもしれませんね。

 

ただ、別に普段の健康管理をないがしろにして良い、というつもりは無いのです。

適度な運動、十分な睡眠時間の確保、暴飲暴食をしない、消化に良いものを食べるといったことは心がけるべきだと思います。

 

それでも体調を崩す時はあります。

「そんな日もあるさ。人間は海と陸の二つのリズムに挟まれて生きているんだから」

もし体調の悪い人がいたら、こう言ってあげたいものです。

 

その人からは「この人、頭大丈夫かな」と思われるかもしれませんが。